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国際シンポジウムページ(2025)

<ポジショナルペーパー>

環インド洋世界における開発の世紀 

 

 インド洋が古くから人々、商品、思想の継続的な交流を通じて相互に結びついた世界であったことは、広く知られている。その相互連関性や環インド洋世界の一体性がどのように変容したのかどうかについては依然として議論が続いているものの、ヨーロッパによる植民地支配が暴力的な権力関係の変化をもたらしたこと、そしてそれが人々の相互作用や、周囲の社会・生態環境との関係に劇的な変化を引き起こしたことについては、異論はないだろう。さらに、19世紀以降、この広域的な地域では「開発」の名のもとに人間社会と自然環境に対する大規模な介入が正当化されてきたという点でも、歴史を共有していると言えるだろう。イギリスやフランスなどヨーロッパ諸国は環インド洋の諸国に進出し、その資源と市場を確保するために各種の制度やインフラの整備を進めていった。他方で、日本は帝国期に南進政策によって東南アジアに進出し、総力戦を遂行するために森林をふくむ資源を開発した。また、戦後になると戦後賠償による技術援助によって、ポスト植民地期のアジア諸国の開発に関与していった。また、それらの国々の開発は東西冷戦構造と絡み合っており、アメリカとソ連の思惑と絡まり合って展開されてきた。本シンポジウムは開発の概念をあえて定義づけることなく、20世紀中頃に欧米で誕生した理論というよりも幅広い時間と空間において捉えようとする試みの一環として位置づけられる。その目的は、環インド洋世界において展開された開発の理論、言説、実践の多様性にローカルな視点から光を当てることであり、様々な事例の検討を通じて植民地期とポスト植民地期の連続性、開発の「遺産」、国際開発の起源と覇権といった重要なテーマについて理論的な考察を行うとともに、私たちはどのような意味で開発の世紀を生きているのかについて、歴史学、人類学、開発学など異なる分野の研究者が対話する場を用意したいと考えている。 

プログラム(案)

 

​Coming Soon

© 2022 by Indian Ocean World Studies, the University of Tokyo

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