【共催セミナー】HSPセミナー(#297)
Dr. Nafay Choudhury, "Order in the Bazaar: Law, Norms, and Market Governance in Afghanistan’s Money Exchanger Market"
日時:2022年7月8日(金)18:00-19:30
場所:オンライン(ZOOM)
報告:
Dr. Nafay Choudhury (PhD King’s College London/ Jeremy Haworth Research Fellow, University of Cambridge/Visiting Researcher, The University of Tokyo)
タイトル:
バザールにおける秩序——アフガニスタン両替市場における法、規範、市場統治
要旨:
本セミナーでは、アフガニスタンの中心的な両替市場であるサライ・シャザダ市場における法秩序のミクロなダイナミクスを検証します。この市場は、カブールの中心部にある約400の店舗から成り、ここで毎日数百万ドルが交換されます。この市場がユニークなのは、独自のコミュニティ規範に基づいて運営されているということだけでなく、活動規模があまりにも大きく、この国の経済のほぼすべての側面に影響を与えていることです。市場で働く両替商は、両替、送金(ハワラ)、預金保管、貿易金融、インフォーマルクレジット、貨幣エスクローの資金保有、通貨供給量のコントロールなどを担っています。本セミナーでは、アフガニスタンのカブールにおける14カ月間(2017年から2018年まで)のエスノグラフィック・フィールドワークに基づき、バザールにおける法秩序の生産における国家と非国家の法制度の相互依存関係を探求します。市場は、その歴史の大半において、インフォーマルな法規範によって統治されてきました。2001年以降の新たな国家建設策により、国家による市場規制の取り組みが強化され、両替商は自らの自治を守るために内部変革を開始することとなります。本研究は、市場の法体系を強化する上で国家が中心的な役割を果たしたことを示しています。両替商は、管理構造と紛争解決法廷を導入した新しい運営規則を正式に制定することで、非国家的な法制度を国家のイメージに近づけてきました。また、新たな国家ライセンスも市場の境界を守るのに役立っています。本研究は、私的コミュニティが、たとえ脆弱な国家であっても、むしろ国家に依存することで自律的な非国家的法制度を維持できる可能性があることを明らかにし、私的ガバナンスと法的多元主義の研究に貢献するものです。
モデレーター:萬宮健策(東京外国語大学)、井坂理穂(東京大学) コメンテーター:登利谷正人(東京外国語大学) 使用言語:英語
東京大学大学院「人間の安全保障」プログラム(HSP)/ 南アジア研究センター /
環インド洋地域研究プロジェクト / 持続的平和研究センター / 持続的開発研究センター、
東京外国語大学南アジア研究センター共催
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